皆さん、こんにちは。8月も終わりに近づいてきました。暑さも和らいできて、秋の訪れを感じる今日この頃です。いかがお過ごしでしょうか?
これからの季節、寒くなっていくにつれ、循環器系の疾患が増えていきます。何故だかおわかりになりますか?
温かい所から急に寒い所へ出ると、血管が収縮し、血圧が上がります。その為に血流が悪くなり、栄養(酸素)が各臓器に充分に届かないことで、心臓の機能が急激に低下して心筋梗塞になったり、重症の不整脈を合併することで突然死を引き起こしてしまうのです。
特に冬は屋内と屋外との温度差を5度以内にすることが大切です
因みに、入浴も血圧に大きく影響します。冬場は寒い脱衣所で裸になることで血圧が上がり、熱い風呂に入ることでさらに上がり、湯に浸かっている間に血圧は徐々に下がり、体を拭いて服を着ている際に、さらに下がります。熱すぎる湯も、血管に負担をかけてしまうのです。
内科的な内容のように思えますか?でも、全く眼科に関係無い話ではありません。眼球には、表面にも内側にも、たくさんの血管が存在します。
網膜は、体内の血管で唯一!私達医師がメスを使わずに血管の状態を確認できる場所です。実際に、患者さんご自身に眼底写真をお見せしながら、身体中に行き渡る血管と繋がっている網膜血管の状態を知ってもらうことも出来るんですよ。
網膜血管径の変化は、循環器系疾患(高血圧・脳卒中・虚血性心疾患)の発症に深く関与します。高血圧によって網膜動脈は細くなりますが、もともと網膜動脈径が細いことも、高血圧発症の繋がりやすさに関係している可能性も示唆されています。一方、網膜静脈径が太いことは、肥満・糖尿病・喫煙との関連も報告されています。
網膜中心動脈径が細いことが緑内障の発症と関連しているという報告もあり、日本人に多い《正常眼圧緑内障》が、もともと視神経の血液循環の悪さや脆弱性によるところが多く、従来の眼圧依存性の緑内障と一線を画することの裏付けとも考えられます。
全身疾患から合併する眼症状、眼所見から全身状態の推測も出来るのです。他科で定期的な検査を受けていらっしゃる方はもちろん、自覚症状も無い方こそ眼科受診をお勧めします。お気軽にご相談ください。
『2015年8月25日 Facebookにて投稿』