皆さん、こんにちは
いよいよ、関東も梅雨入り間近のようです。今の貴重なお天気
を大切にしなくては!さて、日差しが強い日、白い壁や紙を見た時、視界の中に動く“何か”が気になることはありませんか?
質問:飛蚊症は、放っておいても良いんでしょ?
答え:どちらともいえません。
放っておいて良い・悪いは、飛蚊症の“原因”によります
飛蚊症は、『液化』や『後部硝子体剥離』による“生理的”なものと“病的”なものに分けられます。
先ずは、《生理的な飛蚊症》から。眼球容積の4/5を占める硝子体の中身は、コラーゲン繊維と、重量の99%を占める水を保持したヒアルロン酸です。硝子体は、加齢により大量の水を保持できなくなり、『液化(液体に変化)』(図①)してきます。10代後半には既に硝子体体積の20%、80代には50%が液化してしまいます。そして、硝子体の液化が進むと同時に、ピッタリくっつき合っていた硝子体と網膜の接着力が低下し、やがて『後部硝子体剥離』(図②)が起こります。正視眼では40歳過ぎから生じ、50歳代で22%、80歳代で85%の方に起こると言われています。また、近視眼では、より早い年齢から『液化』や『硝子体剥離』が生じます。
『液化』や『後部硝子体剥離』が起こると、硝子体ゲルが不安定になります。つまり、タプン、タプンと目を動かすたびに中身が動くのです。すると、ゲル内の隙間や加齢に伴う老廃物・混濁が、行ったり来たり“たゆたう”のです。“白いもの”(壁や天井、紙etc…)を見た場合や青空を見た場合など、強い光が眼内に入る環境下において、網膜というスクリーンに、硝子体中に浮いている老廃物や混濁が影を落とします。それが『液化』による《飛蚊症》です。また、『後部硝子体剥離』による《飛蚊症》では、『液化』よりも、大きくはっきりした影として自覚されます。
以上のような《生理的な飛蚊症》は、治療の対象になりません。顔も100人いたら100人違うように、飛蚊症も大きさや形、見え方も全て人により異なりますから、大きさ・形・量で“大丈夫”か“重篤”とは判断できません。
一方、硝子体が網膜と離れる際などに、網膜の血管壁を傷つけて出血したり、網膜が破れて裂孔や剥離を起こしてしまうことがあります。それらは《病的飛蚊症》ですから、適切な治療が必要になります。その他、全身疾患や眼炎症に伴う飛蚊症もありますから、御自分で判断せずに、眼科で検査を受けて下さいね
『2015年6月7日 Facebookにて投稿』