皆さん、こんにちは。週末は雨のようですね。乾燥続きの冬、ドライアイの患者さんにとっては恵みの雨かもしれません。
さて今回も、外来で気になること、前回に続き眼鏡のお話です。
「遠近両用眼鏡はかけづらい。」「遠近両用眼鏡はクラクラするから、作ったけどかけない。」
え??勿体無いお話を伺いながら、いつもそう思ってしまいます。そもそも、遠近両用眼鏡と近視・遠視用眼鏡と老眼鏡は、まるで別物なのです。
遠近両用眼鏡は現在、《累進多焦点レンズ》が主流ですので、その特徴について。
①眼鏡をかけ外しする必要性が無い
→何よりも、その利便性が1番の魅力です。
②視線の使い方に慣れるまでに時間がかかる
→図のように、遠近両用眼鏡は、上で遠く、真ん中で中間(累進帯)、下で近くを見る構造になっています。どこを見たいかによって、自ら視線を変えなければなりません。
③ピントの合う場所が狭い
→ピントの合う位置が、上から下まで境目無く徐々に切り替わります。“見える距離が広い”代わりに、“見える場所は狭く”なります。
④幅の狭いフレームは適さない
→加入度(近くを見る為に必要なパワー=レンズの度数)が大きくなればなるほど、上下の度数差が発生します。その上下の度数差を無理なく一枚のレンズに納めるには、ある程度上下幅の広いフレームを選択する必要があります。
⑤遠近・中近・近々など、用途に合わせて選択が出来る
→運転重視・家事重視・パソコン重視…等、様々なライフスタイルに合わせて、ピントの合う距離の視野を広げることが出来ます。
⑥度の強さやレンズの質により、歪みの程度が変化しやすい
→単焦点レンズでさえ、度が強いほど構造上レンズ周辺部は歪みやすいですが、フレームの形やレンズの質で明らかな差が出るのが遠近両用眼鏡です。
最近の安価な眼鏡は、作るのが簡単なカーブのほとんど無いレンズを使用している為、前回の投稿に記載した視線とレンズの傾斜が全く合わず、疲れる眼鏡になっていたり、「階段を降りる時、地面が歪んで怖い。」と言った自覚症状に繋がってしまうことが多々あります。
より快適に、身体の一部になれるように、眼鏡をかけて頂きたいと思います。
『2015年11月13日 Facebookにて投稿』