皆さん、こんにちは!…それにしても、毎日暑いですね。熱帯夜が続くと、充分に質の良い睡眠が取れずに疲労が溜まり、免疫力が下がります。そして、涙の質や量にも影響しますのでご注意下さいね。
本日のお題は《市販薬と防腐剤》です。今回は、最も頻繁に点眼薬に使用されている防腐剤である塩化ベンザルコニウムをメインにお話し致します
質問:「目がショボショボするから、市販のdry eye点眼やってるんだけど、全然スッキリしないし、しみるんだけど?もっと点眼しないと効かないのかな?」
答え:NO!!です。それは、ただ“効いていない”だけではなく、薬剤アレルギーや薬剤毒性かもしれません。自己判断で点眼を継続してしまうと、下記のように重症化してしまう可能性もあります。即、点眼を中止して眼科医に相談してください
防腐剤には、メリットとデメリットがあります。
防腐剤は、点眼瓶の中で細菌や真菌が増えないように殺菌する大切な役目があります。点眼瓶の汚染率は、なんと20〜50%という報告もあるくらい、高頻度ですまた、外界から目を守る角膜上皮のバリアを緩めることで、目薬を眼内に行き渡り易くしてくれます。
一方、瞼のかゆみや赤みから難治性の眼瞼炎を発症させたり、角膜上皮細胞に作用して、角膜上皮障害→異物感(ゴロゴロ・ショボショボ等)・痛み・かすみ目の原因になることがあります。最終的には角膜表面の免疫力低下を招き、慢性疾患や難治性疾患を発症しやすくなってしまいます。正に、《諸刃の剣》。
眼の症状に対して自己判断で市販薬を点眼すると、図らずも防腐剤を補給してしまうことになり、角膜上皮障害を悪化させてしまうこともあります。市販薬は、“どんな人がどんな条件で使っても点眼液が腐らない”ように、たっぷり(だいたい、処方薬の数倍〜二桁の違いです!!)の防腐剤が使われています。
防腐剤による角膜上皮障害の発症頻度や重症度は、その濃度に依存すると考えられています。その為、防腐剤に起因すると考えられる角膜上皮障害を疑えば、点眼本数、回数(頻度)や種類の変更を検討すべきです。
全身疾患のある方は、特に注意しなくてはなりません。関節リウマチなどの膠原病や糖尿病、アトピー性皮膚炎なども、角膜上皮障害を容易に起こしやすい素因になります。
塩化ベンザルコニウムを含まない点眼液でも、その他の防腐剤や界面活性剤が含まれている場合が多いので、主剤(有効成分)以外の添加物の影響も考えなくてはなりません。
勿論、処方薬であっても、僅かな防腐剤による影響が出ることもあります。処方された点眼に不具合を感じられた時は、再来指示された日まで我慢せず、必ず眼科医にご相談くださいね。私達は、「患者さんの眼が良くなりますように…」と願いながら処方します。そうなるように、是非ご協力お願い致します
『2015年8月4日 Facebookにて投稿』